音感のトレーニングは、音固有の高さを覚える方法と基準の音を与えて他の音の高さを判断する方法があります。比較的小さいころから訓練を受けている場合は、音固有の高さを覚える方法が、子供にとっては単純で明快です。ゲーム感覚で行うと子供は構えることなく音の高さを覚えていくことでしょう。

音感訓練の重要性

ピアノは、自分で音の高さを調整する必要がありません。そのため、演奏するにあたり、音感がどれほど役立つのかを体感できないところがあり、保護者も本人も軽視する傾向があります。しかし、音楽家であれば、耳のよさは(すべてではないけれども)練習、演奏の助けになると、誰もがいうことでしょう。小さい子供にとっては、「指が動く、楽譜が読める、難しい曲が弾ける」ことよりも、「音感」「リズム」をきちんとトレーニングしてあげる方が重要です。それは大きくなってからではできないということではなく、非常に時間がかかり、本人の取り組む姿勢に左右されます。

  • 自分の演奏を聴けるようになる
  • 人の演奏に興味を持つ
  • 暗譜が速くなる
  • 音符を追いやすくなり譜面読みができるようになる

音の高さを覚える方法

音の高さを覚える為に有効な手段としては、音名の他にその音のイメージを持たせることです。それは何でも構わないのですが、色をイメージさせるのが、教える方にとっても、教えられる方にとっても、取り組みやすく効率的です。私自身も色が思い浮かびます。当教室では、その色のイメージを子供たちに伝えています。

トレーニング方法は、簡単です。

音を聴いたら、色紙をあげるだけです。これを「ド」から丁寧に行い、増やしていくと、自然と音の高さを覚えることができます。

音名ファ
オレンジ水色

ステップ1 【単音】幹音(自然音)

「ド」から一つ一つ丁寧に、音の高さを覚えます。たまに、学習している範囲外の音を出し、絶対的な音の高さを覚えているのか確認します。まずは、中央「ド」から1octの範囲で行います。最初は、同じ音、隣合う音(2度音程)で、音の高さの識別ができているのかを確認します。音の高さの識別ができるようになったら、音を3つに増やし、3度音程までを完璧に音名をあてられるまで、期間をかけて行います。完璧に覚えたら、一つずつ音を増やし、また完璧に覚えていきます。

一度に行う訓練は、数分程度で問題なく、継続して行うようにします。音が3つ以上になったあとは、間違える音がああれば、何カ月かかっても、音は増やしません。その間、ピアノのレッスンの音の範囲をカバーするために、ドレミで歌う訓練が大切になります。

ステップ2 【重音】幹音(自然音)

和音(複数の音を同時に奏でること)で、同時に2つの音を出す場合、「重音」と呼びます。3度、5度、4度、2度、6度、7度の順で、覚えていきます。まず、片方の音を聴かせ、その音を保ったまま、他方の音を聴かせます。片方ずつ鳴らし音が重なる響きに慣れてきたところで、二つの音を同時に鳴らします。同時になった時の響きを覚え、各音を別々に感じ取れるようになるまで、期間をかけて丁寧に訓練していきます。

色カードは、基本的に2枚を同時にあげさせればいいのですが、予め2色のカードを作っておくのもいいでしょう。

ステップ3 【単音】派生音

全ての自然音をマスターしたら、黒鍵にあたる派生音を覚えていきます。「ド シャープ」「レ フラット」は同じ音ですが、このような音の関係を「エンハーモニック(異名同音)」と言います。シャープかフラット、どちらかに統一して覚え、最終的に「エンハーモニック」であることを理解させます。

シャープのカードを作り、音がなったとき、黒鍵であれば色カードと一緒にシャープのカードを上げます。

覚え方は、まず「ド」と「レ」を順番に聴かせ、そのあと「ド→ド♯→レ」と聴かせます。そこで「ド」と「レ」の間に音があることに認識させます。そのあと、黒鍵を一つずつ増やし、覚えていきます。

この段階が終了すると、どの音を聴いても音名を言い当てることができます。

ステップ4 【重音】派生音

基本的なコードで使う音程を中心に、覚えていきます。やり方は、ステップ2と同じです。

ここまでの訓練で十分ですが、余裕があれば、基本的な3和音、4和音の訓練を行うのもよいでしょう。小学生以上は、それよりもリズム聴音を行い、本格的な聴音を行う準備を行う方がよいでしょう。

音が全て「ドレミ」で聴こえるのか

人によって程度の違いはあるかもしれませんが、物音がドレミで聴こえることはありません。なぜなら、音楽で使っている音の高さとぴったり合うことは非常に稀だからです。近い音を判断することくらいはできます。会話もドレミで聴こえてたら大変ですが、そんなことはありません。逆に、物音でドレミが浮かぶようであれば、狂った音でドレミと聴こえているようなものだと思います。

人によって不得意分野があり、私の場合は、「歌」が、分かりづらいです。ドレミで聴こうとする癖があり、歌詞はなかなか頭の中に入ってこないにも関わらず、音名も出てきづらいところがあります。ピアノは音がはっきりしているのでわかりやすく、音が狂っていてもそれを考慮の上、判断できるくらいです。

これも人によってかもしれませんが、体調が悪いと正しいのに狂った音に聴こえたり、全体的に1度程度上下して聴こえてしまうことがあります。そのうちもとに戻ります。今までわかっていた音が急にわからなくなっても、焦る必要はありません。

音を色化するさまざまな工夫

2歳のピアノ、音感の訓練

2・3歳の場合は、鍵盤を判別させるのも難しく、5本の指を使わせるのも大変です。楽譜には色のシールを貼り、指にもシール、鍵盤にもシールを貼り、まずは「音」「色」「音名」を覚えていきます。写真は、指にシールを貼っていますが、ゴムや紙の輪っかを巻きつけることが多いです。

そのうえで、少しずつ指を動かしたり、鍵盤を覚えてたり、楽譜を読んだりできるようにしていくとよいでしょう。しかし、年齢を考えれば、できないことが多くて当然、負担になりにくい歌や聴き取りの訓練を中心にやることが、将来に繋がります。

みんなの色カード

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